みなさん、こんにちは。国井です。1か月のご無沙汰です。
まったくブログを書いていない1か月の間、私は2つの海外のカンファレンスに参加していました。
2014年4月29日~5月1日 Office 365 Ignite (Sydney, Australia)
2014年5月12日~15日 TechEd 2014 North America (Houston, USA)
それぞれのカンファレンスでは、いずれもクラウドアイデンティティの分野(Azure Active Directory、ADFS)を中心にセッションを受けてきました。
セッションの中で、どのような話があったか?などについては、これから2~3か月のうちに色々な形で発表していく予定ですので、お楽しみに。
今日はその話とは別に、ちょっと視点を変えて、海外のカンファレンスに参加することについて、記しておきたいと思います。
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「海外のカンファレンスに参加した」という話をさせていただくと、決まって聞かれることがあります。
それは、
「Channel 9を見れば、セッションの話は聞けるのに、なんでわざわざ現地に行くの?」
ということです。
たしかに、現地に行かなくたって、マイクロソフトのカンファレンスであれば、Channel 9というサイトにアクセスすれば、そこから各セッションの様子は確認できます。なので、現地で受講しなくても話を聞くことは簡単にできます。
しかし、セッションスピーカーそのものの話を聞けたとしても、現地に行かなければ得られないことは、たくさんあります。私の思いつくものをいくつか挙げてみましょう。
Breakoutセッション以外で開催されていることは現地でないと確認できない
代表的なものにHands On Labs(HOL)があります。
HOLとは、演習環境と演習手順書が用意されていて、手順書をもとに自分で環境構築等を試してみるというものです。
HOLは手を動かしながら学習するというスタイルを提供してくれるため、セッションで学んだ内容を自分の頭の中で消化させるのに、とても役立ちます。
これが自社の環境の中で同じことをしようと思ったら、それは大変ですよね。
HOLはマシンとマニュアルが用意されているので、自分で勝手に操作確認するスタイル(TechEd2010より)
その意味では、カンファレンスに参加するということは
新しいスキルを習得するための時間をお金で買うような感覚と捉えてもいいかもしれないですね。
(このことは「海外」のカンファレンスだけでなく、「有償」のカンファレンスと置き換えても
同じことが言えると思います)
Breakoutセッションの反応は現地でないと確認できない
セッションでは、全くオーディエンスのニーズにあっていない話をしているスピーカーがいます。
だけど、そうした的外れなスピーカーの話を最後まで聞いてくれるほど、オーディエンスは甘くありません。ひとり抜け、ふたり抜け、、気がついたら、私以外誰もいなくなってしまったセッションを私は知っています。
こういう状況を見れば、「あ、このセッションの内容は、世の中的には受け入れられない話なんだな」ということが簡単にわかります。それは現地に行かなければ、わからないことですよね。
もっと詳細を知りたければ、「どうして最後まで聞かないの?」と席を立った人にヒアリングすればよいのです。
不覚にもキーノートセッション会場には満員で入れず、サテライト会場からの視聴となった(TechEd 2014より)
逆に、参加者が多く、質問が多いセッションも現地に行かないと反応を拾うことはできません。
質問の内容を聞けば、
・みんながどんなことで困っているのか?
・海外のエンジニアのスキルがどのくらいの位置にあるのか?
などが確認できます。
ちなみにオーストラリアではSharePoint Onlineの反応はいまいちだったようにお見受けしました。
(One DriveとOne Drive Proと違いについて質問しているオーディエンスを複数お見受けしましたし。。)
意外?!Lyncのセッションは、たくさんのオーディエンスが参加されていた (Office365 Igniteより)
参加者どうしの会話は現地でないとできない
私は海外のカンファレンスに参加している割には、英語ができない部類の人間ですが、そんな私にでも声をかけてくれる参加者はたくさんいます。
「日本の状況はどうなんだ?」なんて聞いてくれるので、つたない英語で説明したのちに、「あなたの国では?」(英語で、and you? と聞いたら、通じましたよ)と聞けば、色々と貴重な情報を教えてくれます。
意外にこうした情報って、セッションの内容以上に重要だったりするのです。
ちなみに私がシドニーに行ったときにお話をさせていただいた、ニュージーランドの方は
ニュージーランド国内では仕事が少ないので、シンガポールまで出かけていって、
仕事をしている、という話をされていました。
日本とニュージーランドでは、マーケットの規模が全然違うので、守備範囲も違ってくるのだな、、とか、
日本でも同様のことが起こりうるのだろうか?とか、色々考えさせられるきっかけになりました。
(という話は、現地に行かないと、なかなか聞けない話ですよね)
海外カンファレンスに参加したときに、別の参加者の方に連れていってもらった「XPの丘」での写真
「XPの丘の今」を写真に収められたことはXPのサポート終了の話をするときにとても役立った
それから、日本から参加する人どうしのコミュニケーションも重要だと思います。
「ヒューストンでお会いした国井さんですね」と
「新橋でお会いした国井さんですね」では、
相手に与える印象は全然違います。
次に日本でお会いする機会があるときには、現地でご一緒させていただいた話で
盛り上がることもできますし、ビジネスをスムーズに進められることでしょう。
TechEd参加者が住んでいる場所をピン留めするボード。
日本には2~3のピンしかなかった。(TechEd2013 North Americaより)
そもそもChannel 9、見ますか?
Channel 9を見れば、セッションの内容は聞けるというものの、日本にいると色々と忙しくて、そんな時間さえ、取れない人もいると思います。だったら現地に行って、セッションを聞く以外にやることがない状況を作ってしまったほうが、セッションの内容に集中できるし、「もの」にできると思うのです。
いくつか挙げてみましたが、これでも一部に過ぎません。
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海外のカンファレンスに参加すると結構な出費になりますし、
会社で出張を承認してもらうための交渉は大変なものとお察しします。
しかし、そこで得られるものは非常に大きいですし、
直接的に「参加したら、いくら儲かる」とは言いにくいけど、
少なくとも新たなテクノロジーに対するスキルをいち早く習得し、
それを先行者利益に結び付けることができる(可能性がある)という点では、
間違いなく参加した人、参加者を派遣する企業に与えるインパクトは、きっと大きいはずです。
(ちなみにTechEdの場合、参加すると、こんなメリットがあるという
上司説得ドキュメントはサイトに公開されています)
私自身、はじめて海外のカンファレンスに参加したのは2002年のTechEd 2002 (New Orleans, USA)ですが、当時の私は個人事業の身でした。
そのため、生活費を削って参加するような状態でしたが、
それがあったからこそ、今の仕事が続けていられるということは、はっきり言えると思っています。
よく「Googleで調べれば、何でも答えが得られる」という考え方が危険だ、と指摘する人がいますが、
それはChannel 9でも同じことが言えます。
現地でカンファレンスに参加する意味を理解し、来年はもっと多くの日本人の方が参加されて、
新たなテクノロジーをもとに、より先進的なビジネスが多く展開されることを期待しています。