数多くあるWebサイトの中から私のブログにお越しいただきありがとうございます。
私は国井 傑(くにい すぐる)と申します。
なんでブログでコンテンツを提供しているの?
どんな仕事をしているの?
そうしたお問い合わせをいただくことがあるので紹介させてください。
ブログでコンテンツを提供する理由
私は1996年に新卒でIT業界に入り、インターネットサービスプロバイダーの運営に携わらせてもらったり、お客様先に常駐してインフラ管理をさせていただいたりしましたが、もともとは学校(中学・高校)の先生を目指していました。業界に入ってから数年後にマイクロソフト認定トレーナー(MCT)という職種の存在を知り、そこから「日本のITエンジニアのスキル向上に役立つことができたら」と思い、現在のマイクロソフトソリューションに関わるインフラ屋(IT Pro)さん向けのトレーニングをスタートしました。
トレーニングでは参加される、それぞれの方にあった話をさせていただくように心がけていますし、そのための準備をしているのですが、どうしても時間的な制約がある中でお伝えできることは限られてしまうのです。そこでブログを通じてお伝えできなかったことなどを補足できれば、というのがきっかけです。イメージ的には社会貢献活動ってとこですかね。
私と会社のあゆみ、生業とするビジネスなど..
マイクロソフト認定トレーナーという資格を持っている人自体が世の中に少なく、まったく謎に包まれた職業なので、私のあゆみをお伝えしながらビジネスについて理解していただき、さらには新しく業界を目指してくれる人が増えたら良いなと思い、紹介してみます。
(すみません、色々書いてたら長文になってしまいました)
マイクロソフト認定トレーナーになる
新卒でインターネットサービスプロバイダー企業に入社し、社会人として同期のみんな横並びのスタートだ!と思っていたら、まわりは皆ITスキルに長けている人たちばかり!それゆえに自分などこの会社に居て良いのだろうか?という劣等感の抱く毎日でした。
入社から1年ぐらいしたある日、会社でトレーニングサービスの事業を立ち上げることになり手始めにトレーナー資格をとってこいと会社に言われました。みんなでとあるトレーナー資格の試験を受けに行ったところ、なぜか自分だけが合格したんですよね。学科と実技の両方のスキルが問われる試験で合格できたことは自分にとって本当に自信になりました。そのときに自分はマイクロソフト認定トレーナー(MCT)として生きていくんだ!と強く思ったのを覚えています。
ちなみにMCTになるには(当時)認定トレーニングセンターに所属することが必須要件でした(今だとフリーランスでもMCTになることは可能)。しかし私の場合はラッキーなことに自分の会社が認定トレーニングセンターになってくれたので、あっさりMCTになることができました。
MCTになることと仕事として成立させることは別の意味を持ちますが、社員でなくても(副業でも!)関わらせてくれるトレーニングセンターはありますし、またそうした仕事の斡旋をしてくれる会社もありますので、その意味ではハードルはかなり低くなったと思います。(具体的に興味のある方はご連絡ください!)
個人事業主になる
MCTとしてのキャリアを3年積み、より大きなトレーニングセンター企業への転職も一度経験して、これからバリバリ働こうと思った矢先、勤めていた会社が倒産してしまいました。当時、「あの会社は危ない」っていう噂を聞きつけた色々なトレーニングセンター企業さんから声をかけていただきましたが(その節は本当にありがとうございました)、個人事業主だともらえるお金の額面が多いという単純な理由で個人事業主としてスタートすることになりました。
だけど年商と年収の違いすらわかっていないこの頃は「お金が増えた!」と思った瞬間に、所得税、住民税、国保税、どんどんお金が減っていくことに恐怖を覚えました。退職金って誰かが払ってくれると思ってたし、えっ経費も自分で払うんですか?という経営音痴っぷりw
それでもなんとかなったのは、2001年1月に開業した最初の月から売上がきちんとあったからです。ラッキーなことに正社員としてMCTの仕事をしていたころから、MCTとしての仕事自体は変わらなかったですし、正社員として働いていたころに知り得たお客様からお仕事をいただいたりしたことが幸いしました。
特に「フリーランスになることは絶対やめたほうがいい」と私に助言した先輩は、私がフリーランスになったら逆に職の斡旋などでサポートしてくれたり.. と世の中はみんな良い人なんだと幸せいっぱいな時代でした。
個人事業主なら休み放題!と人生なめてた頃。
マイクロソフトはオワコン?
B氏がマイクロソフトのCEOだった10年は暗黒の10年と言う人がいますが、実際にはそのちょっと前からMCTの業界自体は既に不況に陥っていました。2002~2003年ぐらいから認定トレーニングセンターも生き残りに必死で、私のように食わせる責任のない人材など、まず最初に切られてしまいます。一緒に個人事業で仕事しようよと誘った方も私のもとを去り、私に仕事のアサインをしてくださった方とも仲違いして二度と会えない間柄になるなど、マイクロソフトという会社が傾くだけで色んな影響が出るものなんだなと痛感しました(MSからしたら、あんたの人生なんか知らんがなって話ですけどね)。
この頃からマイクロソフト一辺倒のビジネスからSymantecやCAなど、別のベンダーさんのトレーニングをさせていただくようになりました。なりふり構わずスタートしたビジネスでしたが、Symantecのトレーニングで得たスキルは今のMicrosoft 365 Defender、CA SiteMinderのトレーニングで得たスキルは今のADFSやAzure AD SSOに取り組むうえでとても役に立ちました。
MECMマスターを目指す
オンプレミスのシステム管理製品であるMicrosoft Endpoint Configuration Manager (MECM) を初めて使ったのは1999年で、当時の先輩から仕事を押し付けられたのがきっかけでした。当時、MECM(当時の名称はSMS)など外資系企業でしか使われておらず、不人気の製品で、MCTの中でもMECMのトレーニングを担当できるトレーナーも数えるほどになっていました。
1999年にリリースされたSMS2.0の公式テキスト
するとパッチ管理の重要性が浸透する2005年ぐらいから「うちの会社のSMSの面倒を見てほしい」と、構築支援・運用支援の依頼をいただくようになりました。
トレーナーとしての仕事はそのスキルを身に着ければ、しゃべりの方面では他のコンテンツでへの横展開、スキルの方面では真っ当な使い方を理解しているということでアドバイザリー業務へ展開できるということを知り、案外食いぶちに困ることのない仕事なんだなと思うようになりました。
会社を作ってみた
ひとつのお取引先の会社に忠誠を誓って案件をこなしていても、不況になればあっさり切られることを理解した私はお取引先のポートフォリオ化に取り組むようにしました。
また、この頃から会社相手でないと取引しないという会社が増えるようになったことから、いよいよ会社設立が必須要件になってきました。そこで、かつての先輩から紹介していただいた方と2007年に会社を作って取締役になりました。会社を長く存続させるためには安定してサービスを提供できること、つまりハイクオリティなサービスが提供できる人の存在が重要。特にトレーニングビジネスの場合は人のクオリティが大きく左右するサービスですから、まずは同僚探しから始めました。
「この人だ!」と思った人、ひとりひとりに声をかけて「仲間になれ!」とワンピースのルフィみたいなことをリアルでやってました。従業員は5人まで増え、今でも誰ひとりとして仲違いせず、一緒に仕事をしてくれているのはうれしい限りです。
って言っておきながら、まさかこのあと自分が会社を離れることになるとは想像もしませんでしたが…
出版社からのオファーがきたよ
出版社で原稿を書いてくれるライターを探しているという話を業界内で親しくさせていただいている先輩を経由していただきました。これまでにも研修テキストを制作してきた実績があったので二つ返事でお受けしました。この原稿がきっかけで特集記事や連載で30冊以上、書籍も10冊以上執筆させていただきました。
どうやったら書籍を出せるのですか?と聞かれることがあるのですが、どうしてもツテのあるなしに影響されるところは大きいです。また自分にチャンスが来た時に「こんな情報があったら喜ばれるのではないか?」という企画を常に持っていること。このあたりを持っていると喜ばれる確率は高いと思います。あと、誰が言ったか覚えていないのですが「ピアニストが1日ピアノを弾かなかったらその感覚を取り戻すのに1週間かかるように、ライターも1日原稿を書かなかったらその感覚を取り戻すのに1週間かかる」と言っていたので、私もできる限り常に文章は書き続けるようにしていました。成長したのかは知らんけど。
書籍の出版記念パーティーに参加させてもらったときの写真。
アイドルとか歌手とか連れてきて歌わせるなどトレノケートの横山さんの暴走を誰にも止められない会だった。
ブログをはじめる
会社で「トレーニングを通じて特定スキルに長けた人をひとりでも多く輩出する」というミッションを掲げるも現実は日銭を稼ぐので精一杯。しかも日銭を稼ぐ時間はあっても仕事はない。そんなわけで2009年にこのブログをスタートしました。
トレーニングではそれぞれの人に合わせた情報をお伝えできるよう、様々な情報収集をしたり、検証を行ったりするのですが、その情報を提供することなく賞味期限を迎えてしまうことが少なくありませんでした。
ブログの最初の投稿-当時はWindows Live Blogで投稿していた
それであればブログを通じて誰かのために良いだろうと考え、社会貢献的な意味合いで人知れず投稿していました。当時は「お金をもらって話をするトレーナーが無料でコンテンツを提供するべきでない」と色々な人に批判を受けましたが、「ブログにお世話になってます」と声をかけられる割合が増えてくると嬉しいですし、やっててよかったなと思います。
自社のサービスを作ろう
Active Directoryが10年を迎えた2010年、次の10年はクラウドサービスの時代になるだろうと予測し、次の時代に向けた準備に取り掛かることにしました。なかでもID連携ツールであるADFSはこれからの時代の重要な要素になるだろうと直感的に思ったんですよね。
そこで1年くらいかけていろんなドキュメントを参照したり、いろんな人を訪ねたり、いろんなイベントに参加したりして情報を集め、自分なりにお客さんに望まれていることを分析し、トレーニングコースを作りました。
うちの会社には教室やPCなどの機材がないため、トレーニングコースを展開するには営業面を含めたサポートをしてくれる会社が必要だったので、イルミネート・ジャパン社(当時、クリエ・イルミネート)にお願いしました。
これで完璧、あとはお客さんが来てくれるだけ!と思って蓋をあけたら
まったくお客さんは来ません..
良いトレーニングコースを提供することは、売れるトレーニングコースを作るための必要条件であって、十分条件ではなかったんですよね..
実際、コース自体が認知されるまでに3年位はかかった気がします。
誰もお客さんが入らないのに教室を確保してくださっていたイルミネート・ジャパンの皆さんには本当に迷惑をかけたと思います。当時の社長さん、ごめんなさい!
ADFSがきっかけで親しくさせていただくことが多くなったMSの安納さんが作ってくれたシャツ。シャツにはAzure AD Premiumの重要性が書いてある。
海外のカンファレンスに行く
ADFSの情報をとにかく集める。
このことに執着し始めた頃から海外のカンファレンスに積極的に参加するようになりました。
Microsoft TechEd (現Microsoft Ignite)
The Expert Conference (Quest Software社のIdentityカンファレンス)
Microsoft MVPのための秘密の会議..
だったり、英語ができないのにクラスルームトレーニングに飛び込んでいったりと
アメリカ、イギリス、オーストラリア、シンガポールの合計4か国を訪れました。
米国のカンファレンス帰りに立ち寄った「XPの丘」
オンラインで済む話では?ネットで調べれば済む話では?と
さんざん色々な人に言われたけど、現地に行かないと得られない話や
コネクションっていっぱいあったと思います。
一方、会社のお金を使いこんでも売上に反映されないから
社長に小言を言われたんですが「黙ってろ!」と一喝する始末。
傍から見たら完全に暴君と化してました。
根拠のない自信だけがみなぎる2011年~2015年でした。
作った会社を辞めて新しい会社を作る
2007年にもうひとりの創業者と共に作った会社も気が付けば14期を終え、従業員だけでなく一緒に働いてくれるパートナー(個人事業)も増えていきました。ただ、InstagramやYouTubeなどで個人で活躍できる時代になっているのを見ていると、自分の会社名を隠して「A社の国井です」「B社の国井です」と言い続けるような請負の仕事をするやり方は変えていかなければならないと思いましたし、もっと言えば業態自体も変化させていく必要があるのではないかと思うようになりました。ただ私が思い知らされたのは会社は最大株主によってしか変えられないってことだったんですよね。
ってことで新しい会社を作って新しいスタートを切ることになりました。
もう社会人として働ける年数も長くないと思うのですが、できるところまで頑張ってみようかなと思っています。
よくいただくご質問
トレーニング以外にもコンサルティングもされるのですか?
ご依頼をいただくことが本当に多くなっているのですが、時間的な余裕がないことから今はお受けしていません。現在は「学びという投資に確実な成果を出す」というミッションで、私のトレーニングにご参加いただいた方々が活躍する世界を目指しています。私自身がコンサルティングをすることによって他の方のスキルを伸ばしてあげられる時間が失われてしまうのはもったいないと思いますし、何よりもトレーニングを通じてスキルのある人が増えたほうがIT業界にレバレッジを効かせられると思うのです。ですので、今は申し訳ないですけどお断りしています。
これまでどおり、ITベンダーさんだと「特定のお客様案件で特殊なスキルを必要とするため、協力してほしい」と言われたときに、そのスキルをつけるためのワークショップでディスカッションすることや、一般企業のIT部門の方だと「ITベンダーさんの納入するシステムを精査できるようにスキルをつけたい」などのご依頼には協力させていただきますので、遠慮なくご連絡ください。
新しい情報をどうやって手に入れていますか?
私がマイクロソフトMVPだから、MCTだから、といって新しい情報が手に入るとは限りません。ありきたりな方法かもしれないけど、私が活用しているのは次の3つです。
・とにかく操作する
・カンファレンスの情報を活用する
・learn.microsoft.comを活用する
「とにかく操作する」に勝る新しい情報の入手方法はありません。だって、そこで見た結果は必ず事実ですから。ただ、前提条件などによって異なる結果が得られる場合もあります。(例えば、Teamsでのビデオ通話を自宅で1人で利用するときと、会社で100人同時に利用するときには求められるネットワーク帯域が異なりますから、つながりやすさに違いが出るのは当然ですね)このときに重要になるのは操作する前に結果を予測することです。
製品やサービスのアーキテクチャを考え、そこから結果を予測し、予測通りの結果が得られるか検証する。
この一連のプロセスによって、納得できる結果が得られれば、自分の中でも消化しやすいと思います。もし、自分が予測した結果と異なる結果が得られた場合は前提条件を変えて再度実行したり、自分の考える理屈にどこか破たんしている箇所がないか?などを考えてみることが大事だと思います。私のトレーニングでは、単純に情報をお伝えするだけでなく、自身で考えて様々な検証やトラブルシューティングができるようになるために必要なリソースを提供することを心がけています。
だけど、正直なことを言うと調べなきゃいけないことってたくさんあり過ぎるので、一人で全部を調査するなんてムリ!会社の同僚やコミュニティの仲間と共に色々な分野について分担して調査ができるとよいですね。
2番目の「カンファレンスの情報を活用する」は日本語の情報があれば一番良いのですが、日本ではカンファレンスそのものの数が少ない。そこで、海外まで範囲を広げてチェックをされるとよいと思います。マイクロソフト製品/サービスに関わるものなら、YouTubeで確認できますよ。
最後のlearn.microsoft.comですが、言わずと知れたマイクロソフトの公式サイトです。特定の情報について調べるとき、ネットで検索すれば色々な情報が出てきますが、それは信頼できる情報なのか、疑わしいときってありますよね。そんなときは、マイクロソフトのWebサイトであるlearn.microsfot.comを見ましょう。やはり1次情報に触れることが何よりも重要です。1次情報は正確であることを優先するあまり、わかりにくい表現だったりすることもありますが(しかも、たまに英語)、そういうときは私のブログを参考にしてくださいw
ネットがあれば有償トレーニング要らなくないですか?
私がトレーニングを職業としていることもあり、ネットの情報や、コミュニティでの勉強会は私の仕事を失う脅威になるのでは?と心配してくださる方がいるのですが、私はそうは思っていません。
有償のトレーニングに求めるものは人によって異なりますが、基本的に私のトレーニングでは、受講される方が特定の技術分野について勉強しようと思った時に費やす時間を少なくしてあげることを意識しており、それができるのは有償のトレーニングだけだと思っているからです。
昔あるプロジェクトで、とある会社に私が常駐していた時、他の部署でシマンテックのウイルス対策ソフトについて調査するように上司から言われている人を見かけました。
その人は1日がかりでいろいろ操作して、調べて、1日の最後に上司にこんな報告をしました。
「どうもgrc.datというファイルが設定を管理しているらしいです」
この報告は、ひとつも事実を伝えていません(どうも…らしいです)。しかも1日かけて、この程度の報告しかしないことにびっくりしました。だって、grc.datというファイルを使って(当時の)ウイルス対策ソフトが動いていることは、その製品のテキストに書いてあることなのです。
そのエンジニアの1人日のフィーがいくら知りませんけど、そんなことに時間を費やすぐらいなら(しかも確証が得られない事実に惑わされるくらいなら)トレーニングを受講したほうが手っ取り早いと思うのです。しかも、テキストには(前の例えを借りるならば)grc.datというファイルを使うという事実だけでなく、なぜそれを使うのか?それを企業で適切に扱うにはどうしたらよいか?も一緒に書かれているため、自分で調べるには膨大な時間が必要になるものを一気に手に入れられるのです。
ネットの情報やコミュニティの勉強会でも得られる貴重な情報はあるけれど、時間的、スペース的な制約から、どうしても断片的な情報になってしまい、体系的な知識を身に着けたいというニーズを満たすことは難しいと思うのです。
このように有償のトレーニングは特定の技術分野に関する情報収集をするときに、最も効率よく情報収集できる手段だと私は確信しています。この考えを理解してくださる方が世の中にいる限り、私は全力でその方が理解に費やす時間を最小限に抑えてあげたい。それが私の使命だと思っています。